もともと「練習曲」は文字通り、ピアノ演奏の技術を習得させるために作られたので、人前で弾いて聞かせる、というものではないのですが、ただの指のための練習曲も天才の手にかかるとそれ自体「芸術品」としての品格をもつものとなる。どのような過程を経て練習曲が変化を遂げて来たかを考える。
《取り上げる曲目》
バッハ:4つのデュエットより 第3番 ト長調
ツェルニー:練習曲より
クレメンティ:“グラドス・アド・パルナッスム”より op.44-14
クラマー:練習曲より
メンデルスゾーン:3つの練習曲より 第1番 変ロ短調
シューマン:パガニーニのカプリースによる6つの練習曲より op.3-4
タールベルク:12の練習曲より 嬰ヘ短調 op.26-1
ショパン:練習曲 変ト長調 op.10-5「黒鍵」
リゲティ:練習曲集 第1巻より 第5番「虹」
ブルーメンフェルト:左手のための練習曲 変イ長調
ドビュッシー:12の練習曲より「4度音程のために」
ショパン:3つの新練習曲より 第1番 ヘ短調
:練習曲 変イ長調 op.25-1「エオリアンハープ」
リスト:パガニーニ大練習曲集より「ラ・カンパネラ」
※曲目・曲順が変更になる場合がございます。
PROFILE
小林 仁 Hitoshi Kobayashi
第25回日本音楽コンクール優勝・特賞受賞。ドイツ・バイエルン州の給費留学生としてミュンヘンに留学。1960年ワルシャワショパン国際ピアノコンクール入選。数多くのリサイタルやN響をはじめとして、日本のほとんどのメジャーのオーケストラと40曲以上のコンチェルト協演の経歴を持つ。1995年にはワルシャワのショパン国際ピアノコンクールをはじめ、ジュネーブの国際コンクールなど内外の多くのピアノコンクールの審査員として招待されている。ポーランド政府よりポーランド文化へ大きな貢献をはたしたとして、最高位の文化勲章である「グロティア・アルティス文化功労ゴールド勲章」を叙勲。東京藝術大学名誉教授、日本ショパン協会会長。
森 知英 Chie Mori
東京藝術大学音楽学部卒業、同大学大学院修士課程修了。第37回全日本学生音楽コンクール東日本大会中学の部、第2位。第39回同コンクール高校の部、第3位。第55回日本音楽コンクール(毎日新聞社主催)に、盛岡第一高等学校2年在学中に入選。1989年第8回ベートーヴェン国際ピアノコンクール第4席入賞。1995年第13回ショパン国際ピアノコンクールに日本代表として派遣、デュプロマを得る。日本ショパン協会第184回例会始め、各地でソロリサイタル・室内楽・教育活動を続ける。「ベートーヴェンピアノソナタ全32曲演奏会」など自主企画も1999年から20回に渡り継続している。日本ショパン協会正会員。
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