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開催レポート


 この日の「パウゼ」は出演者の同級生も見られて和やかな雰囲気です。演奏者自身の言葉によるプログラムノートがどのように音楽に表現されているかという聴き方も楽しめます。
 石川奈々歩さんは、ブラームス最晩年の連作のうち《6つの小品》作品118からの5曲。内省と激情の行き来から「希望と絶望」の間の移ろいが現れます。音楽による独白とともに会場全体がその情動を追体験するようでした。
 続いて松尾美咲さんは、ショパン《幻想曲 へ短調》作品49、プーランク《15の即興曲》より1959年作曲の第15番「エディット・ピアフを讃えて」と、「即興性」に通じる二曲。即興、といってもその場の思い付きではなく、演奏者には作曲家の仕掛けを汲み取ることが問われます。確固としたテクニックにより新鮮な感動や喜びが鮮やかに描かれました。
 最後に宮地亜論さんのショパン《ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調》作品58より第1、3、4楽章。確かに「協奏曲」のように、各声部を統制しながら独奏旋律を朗々と歌わせます。模範的な形式に則りながらも、臆せずショパンらしい叙情性を解放させました。
若いピアニストたちの試行錯誤の成果に、暖かく期待に満ちた拍手が送られました。
(M.S.)

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