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飯野 愛純 & 青木 萌衣 ピアノジョイントリサイタル 開催レポート

《東京音楽大学 表参道 サロンコンサート Vol.51》は、飯野愛純(いいの・あずみ)さんと青木萌衣(あおき・めい)さんのピアノジョイントリサイタルです。
飯野愛純さんは東京音楽大学ピアノ演奏家コースの2年に在学中、青木萌衣さんは東京音楽大学ピアノ演奏家コースの4年に在学中でお二人ともコンクールなどで優秀な成績を収めています。
コロナ禍の影響で、通常の授業やレッスンを受けることが難しい上、コンサートを開催することが困難な状況ではありますが、今宵のようなコンサートシリーズは、若きピアニストにとってはますます貴重な経験に、聴衆にとってはフレッシュな演奏に耳を傾ける和みのひと時になっていると思います。



 リサイタル前半は飯野さん。1曲目はJ.S.バッハの「トッカータ BWV914 ホ短調」で、堂々たるスタート。深刻なレチタティーヴォ、緊張感を伴った急速なフーガが際立っていました。
そしてメインは、スクリャービンの「ピアノソナタ No.3 嬰へ短調 Op.23」。冬の幻想と言いましょうか、破滅的な和音が厚くとどろく第1楽章。勇ましいテーマに異質なモチーフが絡まる第2楽章。宝石の輝きのように美しくデリケートな第3楽章。空間を支配する絢爛たる響きへと到達する第4楽章。大変見事な、素晴らしい演奏でした。
アンコールはプロコフィエフの「トッカータ」。攻めの演奏で締め括りました。


 リサイタル後半は青木さんで、シューマン夫妻のプログラムが披露されました。
まずはクララ・シューマンの「ロマンス イ短調」。どこか寂しげで、ピュアなイメージでありながら、曲の作りは綿密。青木さんは落ち着いた巧みな演奏で、ロマンティックな楽曲の魅力を十二分に引き出していました。
そしてメインは、ロベルト・シューマンの「交響的練習曲 Op.13」。悲壮感を伴った静かなテーマが、ありとあらゆる技巧、リズム、対位法などを駆使して変幻自在に変奏され、ドラマティックに展開する傑作。凛とした品格ある演奏、魂を込めた香り豊かな演奏、素晴らしいテクニックに、最初から最後まで聴き入りました。
アンコールは、クララ・シューマンの「3つのロマンス Op.11-1」。さりげなくロマンティックに、ひっそりと孤独感を帯びて……。素敵でした。
 
 飯野愛純さんと青木萌衣さんの今後のご活躍を期待しています。(H.A)

 

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