2025年6月8日(日)開場13:15 開演14:00
会場:藤枝市民会館ホール
2025年6月8日(日)小雨の中、小林愛実さんをお迎えし、静岡県は藤枝市の市民会館ホールにてカワイコンサートが開催されました。昨年、当会館に待望のSK-EXが納品され、待ち焦がれた、大変楽しみにしていたコンサートでした。
小林愛実さんは、2021年第18回ショパン国際ピアノコンクール に於いて4位入賞を果たされ、その後も国内外で目覚ましい活躍をされています。小林さんの知名度や人気もあり、開場前から多くのお客様が並び、客席は大盛況でその期待の大きさが窺えました。
プログラム前半は、今年生誕150年を迎えたラヴェル、小品ながらSKの繊細な音色を活かし、どれもが味わい深い余韻を残す3曲となりました。続くシューマンの傑作「クライスレリアーナ」では、彼がインスピレーションを得たE.T.A.ホフマンの世界が、軽やかに、時には重厚に、とさまざまに表情を変えて奏され、聴衆を魅了しました。特に印象に残ったのは、弱音の美しさと迫力の両立です。音がとても繊細で静かな場面でも一音一音が心に響きました、それでいて力強い場面では圧倒されるほどの迫力があり、そのコントラストに引き込まれました。それは後半のショパンでも見事に生かされ、美しい音色で奏でられた3つのマズルカやソナタ第3楽章の歌心、フィナーレのクライマックスに向かうわくわくする程の高揚感は、小林さんの表現の豊かさ、音に込められた感情の深さそのものでした。
アンコールは、お好きだと言うシューベルトから即興曲D935-2、シューマンのトロイメライが演奏されました。
一台のピアノでこれだけの表現が出来ることのすごさ、なにより、小柄な体から、どうしてあのようなダイナミックな音・音楽が奏でられるのか、ただただ感嘆するばかりでした。改めてピアノとピアニストのコラボレーションの妙を体感した午後でした。素敵な演奏をありがとうございました。
静岡事務所 山西 美世子