2026年度「藝大エクセレント」シリーズの第1回目となる本公演。
東京藝術大学大学院を優秀な成績で修了したのち幅広く演奏活動を展開する渡邊晟人氏が、ドイツ・オーストリア音楽の歴史を辿るようなプログラムを演奏する。
リサイタルはモーツァルト『ピアノ・ソナタ第16番 ハ長調 K.545』で幕を開ける。
「ドーミソ シードレド」でお馴染み、ピアノ学習者なら誰もが知る名曲。
極限まで音数が少ないこの曲をプロのピアニストが本気で弾き込むとどれほど美しいのだろうか?
続いて演奏されるのは、ベルリンやフライブルクで学び、ヨーロッパの前衛音楽をいち早く日本に紹介した細川俊夫による《エチュード I ——2つの線——》。
第58回ブゾーニ国際ピアノコンクールの本選課題曲として作曲されたこの作品には、私たちがよく知るような分かりやすいメロディはない。
無音の空間をキャンバスとして描かれる線の軌跡と、音が鳴ってから消えていくまでの静寂の余韻を味わいたい。
前半の最後を飾るのは、6つの小品から成るシューベルト『楽興の時』D780。
シューベルトならではのデリケートな「歌」や転調の機微を渡邊氏は如何に表現するのか。
形式から個人の内面へと音楽が移り変わる瞬間を味わえる。
休憩を挟み後半は、再び細川俊夫の作品から《エチュード VI ——歌、リート——》でスタートする。
ルツェルン音楽祭などの共同委嘱によって作曲された背景を持つ。
前半の最後で演奏されたシューベルトの「歌」と、現代における「歌」との鮮烈なコントラストを、ぜひ会場の空気振動とともに体感していただきたい。
その後に続くのは、シェーンベルクの弟子として知られるアルバン・ベルクが残した唯一のピアノ作品『ピアノ・ソナタ Op.1』。
伝統的なソナタ形式の枠組みを残しつつも、調性感は極めて希薄。
しかし、そこに漂う退廃的でドラマティックな響きは、聴く者の心を不思議と強く惹きつける。
プログラムを締めくくるのは、バッハ『フランス組曲 第4番 変ホ長調 BWV815』。
優美かつ煌びやかでありつつも極めて均整の取れた音楽が、リサイタルの終わりに心地よい調和をもたらす。
バッハ本人の命名でないとは言え、フランスの風を感じさせる優雅な性格は確かに感じられるだろう。
<渡邊晟人 ピアノリサイタル 東京藝術大学エクセレント 大学院優秀修了者によるピアノソロリサイタルシリーズ Vol.13>
公演詳細ページは
こちら
・日時:2026年10月13日(火) 19:00~(開場 18:30)
・会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ」
・チケット:全自由席 一般 3,000円/ 学生 2,500円
・プログラム
モーツァルト:ピアノ・ソナタ第16番 ハ長調 K.545
細川俊夫:《エチュード I ——2つの線——》
シューベルト:『楽興の時』D780
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
細川俊夫:《エチュード VI ——歌、リート——》
ベルク:ピアノ・ソナタ Op.1
バッハ:フランス組曲 第4番 変ホ長調 BWV815