2025年12月18日(木)、外は冬の冷たい風と雪が積もる中、札幌コンサートホールKitara小ホールにて、当社フルコンサートピアノShigeru Kawai SK-EXを使用した、エヴァ・ポブウォツカ氏によるオール・ショパン・プログラムのピアノリサイタルを開催しました。
エヴァ・ポブウォツカ氏は、今年10月に開催された、第19回ショパン国際ピアノコンクールの審査員も務められております。今回オール・ショパン・プログラムということもあり、会場に聴きに来られたお客様方は、期待感に満ちた会場の雰囲気となっていました。
前半、ポロネーズ第4番Op.40-2では重心の低い響きがホールに浸透し、続く4つのマズルカOp.24では、舞曲としてのリズムの揺らぎが控えめなテンポの中で巧みに表現され、郷愁を感じさせました。ノクターン第7番Op.27-1では、弱音の繊細な響きが空間を満たし、静寂が音楽の一部として成立していました。特に、滑らかで軽やかな音色は、鍵盤を撫でているかのような感覚が伝わり、音色のグラデーションがこれほど豊かに表現出来るテクニックも、会場全体に魅力的に奏でられていました。スケルツォ第1番Op.20では劇的な展開を抑制し、構築性の高い解釈を提示し、バラード第1番Op.23では語りかけるように旋律が紡がれ、その物語性が強く印象に残りました。
後半はさらに色彩豊かな音楽が展開され、3つのマズルカOp.59や幻想即興曲では、内声や細部への意識が際立ち、技巧の誇示ではなく音楽的必然性に基づいた演奏が貫かれていました。続くワルツ 第7番Op.64-2、ワルツ 変イ長調 遺作、ワルツ ロ短調 遺作は、軽やかさに加え、深い歌心が感じられ、即興曲第1番Op.29やバラード第3番Op.47では音色の変化がドラマを描くように響き、会場全体に華やかな音色と雰囲気が広がりました。終曲となったポロネーズ 第3番「軍隊」Op.40-1は力強さの中に品格ある響きを保ったまま堂々と閉じられ、聴衆に深い余韻を残しました。
アンコールでは、ショパン マズルカOp.6-2、マズルカOp.7-1、ノクターン第7番Op.15-3を演奏してくださいました。
全編を通じ、ショパンの音楽に対する深い理解と、作品へ誠実に向き合う姿勢が一貫して感じられ、華美な表現や誇張された演奏とは対照的に、音そのものを丁寧に扱う落ち着いたアプローチによって、ショパンの内的世界へ自然と引き込まれ、ショパンが生涯追求した音楽の精神が、確かな説得力をもって伝わった演奏会となりました。

北海道支店 札幌ユニット 高橋 満