ロシア音楽学者 一柳富美子先生による好評のロシア音楽講座続編!
第3回 2019年 1月23日(水) 10:30~12:30
再考・ポスト国民楽派
未公開最新資料をもとに、第2回で言及できなかった19世紀後半のロシア音楽史の実態、特に「ポスト国民楽派」を概説します。
作曲家としては、タネーエフ、リャードフ、グラズノフ、アレンスキー、メトネル、ピアニストとしてはジローティ、イグームノフらを扱います。
ポスト国民楽派が「」付きなのは、実はロシア本国では「ポスト国民楽派」という概念が存在しないからです。この点も講座内で詳細に説明致します。
最新資料分析を通して判明したことは、クレメンティとフィールドによってピアノが紹介された19世紀冒頭から一貫して、ロシア音楽界では常にピアノが中心にあったということです。五人組の管弦楽や歌劇は殆ど顧みられず、聴衆や演奏家の立場から見れば、ロシアは常にピアノの国でした。
一柳富美子
PROFILE
一柳 富美子(ひとつやなぎ ふみこ)
音楽学者。東京外国語大学卒業、東京芸術大学大学院音楽研究科修了。音楽学専攻(ロシア音楽)。ロシア音楽研究会主宰。モスクワ大学及びモスクワ音楽院留学。E.ソローキナ、E.オブラスツォワ、富重潮、原卓也、船山隆、本荘玲子に師事。ロシアオペラとロシアピアニズムに特に造詣が深い。研究・執筆の他にロシア声楽指導・音楽レッスン通訳・翻訳の分野でも第一人者として活躍。これまでにレッスン通訳した音楽家はアシュケナージ、プレトニョフ、ベルマンら200人を越え、邦訳したロシア作品は大曲50歌曲1000を超える。NHK・Eテレ「らららクラシック」やFM・N響ライヴのロシア回ゲスト解説者も務める。1987~88年ヤマハ『ピアノの本』連載で初めて日本にロシアのピアノ音楽教育と若手演奏家をレポート、全くの無名だったルガンスキーやベメゾフスキーらを紹介し、その先見性を高く評価される。1996年ミラノスカラ座国際シンポジウムで発表した論文は5カ国語に翻訳され新ショスタコーヴィチ全集にも所収。2011年ダラム大学ロシア・ソ連音楽国際学会日本代表。国際音楽学会ロシア音楽グループアジア代表員。単著書・訳書に『ムソルグスキー』『ラフマニノフ』(東洋書店)、『バガテル』(カワイ出版)、論文多数。2003年より「ロシアン・ピアノスクールin東京」総合監修。