外装に天然木の化粧材を施したピアノや、一般的な黒ではない白色などの塗装を施したデザイン性の高いピアノのことをインテリアピアノと言います。
音楽を奏でる楽しみに加えて、部屋の雰囲気を演出するアイテムとしての役割を果たす「インテリアピアノ」のことを探ってみます。
黒いピアノとインテリアピアノの違いは?
どんなインテリアピアノがあるの?
人気のインテリアピアノは?
などなど、インテリアピアノについてまとめてみました。
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黒いピアノとインテリアピアノの違い
インテリアピアノは、外装にウォルナットやマホガニーなど天然木の化粧材や色塗装を施したモデルがラインナップされており、これらは黒いピアノと同じ構造のピアノをベースにして製造されるのが一般的です。
この場合モデル名が同属のピアノは、黒塗りでもインテリアタイプでも楽器としては、ほぼ同じ性能と言えます。
一方で、黒塗りのピアノよりインテリアタイプの方が高価になる傾向があります。
例えば、カワイアップライトピアノK-300の黒塗り艶出し仕上げは標準価格 902,000円(税込)ですがK-300のマホガニーモデルは標準価格 1,166,000円(税込)、ホワイト艶出し仕上げは標準価格 1,045,000円(税込)という価格設定です。K-300の場合、黒塗りのピアノに対し天然木マホガニーの化粧材仕上げで約29%高、ホワイト仕上げで約16%高の価格設定です。
デザインと外観の違い
◆黒塗りピアノ
一般的には鏡面仕上げで高級感があり、シンプルなデザインがどんな部屋にもマッチする。
◆インテリアピアノ
木目や色のバリエーションが豊富でデザイン性も高いものが多い。部屋の壁や床の色にあわせて選択肢が広がります。
それぞれ特長がありますので、どれを選ぶか悩んでみるのも楽しい時間かもしれませんね。
部屋に置かれたピアノのデザインへの愛着が弾きたい意欲につながることも考えられます。いろいろなインテリアピアノをカタログなどで調べてみてください。
徐々にインテリアピアノが選ばれる割合が多くなってきている
カワイアップライトピアノの選ばれた台数を黒いピアノとインテリアピアノに分類したのが下のグラフです。
2023年度の台数比率とその15年前の2008年の台数比率です。2008年にはインテリアピアノの台数は32%(黒は68%)ですが2023年には48%(黒は52%)に増えています。
住宅事情の変化と嗜好の変化でインテリアピアノを選ばれる方が半数近くまで増えています。
インテリアピアノの色について
近年ではホワイト系やオーク系など明るい色味が人気に
さらにインテリアピアノの中で何色が選ばれているかを下のグラフに示しました。2008年頃は茶系のウォルナット艶出し、ワイン系のマホガニー艶出し、バーチ半艶仕上げなどの天然木化粧材の外装で97%に達しますが、2023年にはホワイト塗装のピアノやライトオーク系の明るい色が増えています。明るい色調の内装を施した部屋が増えるにしたがってピアノの色への嗜好も変化しています。
インテリアピアノの天然木化粧材外装の種類
天然木の化粧材を使ったインテリアピアノでは唯一無二の美しい木目模様を楽しむことができます。木材ごとの特長を踏まえ、お気に入りのピアノを発見しましょう。
◆ウォルナット
クルミ科の広葉樹。真っ直ぐに成長していくため、木目は直線的で整然としているものが多い。落ち着いた高級感のある濃い褐色が特徴。
▶カワイ公式オンラインショップ(NF-15とLD-200を販売中)
◆マホガニー
中南米原産のセンダン科マホガニー属の3種の樹木の総称。高級感のある赤褐色と光沢が特徴で、ワインカラーで仕上げられた優美なデザインのピアノが多い。
◆バーチ
カバノキ科に属する落葉広葉樹。色のコントラストが少ない木目で、均一で自然な仕上がり。濃い褐色の半艶塗仕上げがクラシックで上品な印象を与えます。着色の色目に変化を付けたアンバーバーチもあります。
いろいろなインテリアピアノ
根強い人気の白いピアノ
「子供のころから白いピアノに憧れていました。」「白いピアノを置くために、明るい色調のフローリングで白い壁の部屋にしました。」など、白いピアノの愛好者は多く長年支持されています。
白いピアノは黒に比べで圧迫感が無く、明るい清潔なイメージを与え、幅広いデザインの部屋に調和します。また、希少価値から特別な存在感を示せることも魅力なのかもしれませんね。
インテリアピアノ専用モデルの小型アップライトピアノ
最近では軽量小型のアップライトピアノで、インテリアピアノ専用シリーズがラインナップされ人気を集めています。インテリアピアノは高額という印象を払拭したコストパフォーマンスの良いシリーズもあり、人気のポイントを探ってみましょう。
◆軽量小型アップライトピアノの特徴
通常のアップライトピアノが背の高さが122㎝~130㎝で重量は227kg~241kg程度に対し、高さ112㎝~115㎝で重量190kg~208kgと小型で軽量のピアノがラインナップされています。
- 背が低いので圧迫感がなく、インテリアに調和しやすい。
- 響板の面積もコンパクトなので比較的音量がセーブされ、最近の機密性の高い部屋でもうるさい音になりにくい。
- 軽量なので床への負担が少ない。
◆コスパの高い小型インテリアピアノ「NF-15」シリーズ
NF-15の外装は、艶消しPVC化粧仕上げを採用し製造コストを削減しています。鏡面仕上げ塗装と異なるマットな外装は現代的なインテリアにも調和するデザインです。
黒艶艶出し塗装に比べて指紋やホコリがつきにくく、お手入れが簡単という実用的メリットもあります。
カワイのアップライトピアノの中で最もコンパクトなサイズで高さ112㎝。しかも190kgと最軽量です。PVC 化粧の外装色は、ライトオーク調、ホワイトメープル調、サテンブラック調の3種類に加え、オンライン販売限定色のナチュラルウォルナット調も用意されています。
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チッペンデールスタイルのインテリアピアノ
曲線的なデザインの脚(猫脚)を採用したピアノをチッペンデールスタイルと呼びます。
18世紀のイギリスの家具デザイナーであるトーマス・チッペンデールの名前が由来です。チッペンデール様式の家具は、現在でもアンティーク家具として高く評価されています。
特約店限定モデルのデザインラインナップも充実
カワイ特約店のみでお求めいただけるアップライトピアノのデザインも豊富にありますので、ぜひ全国の特約店でご覧いただければと思います。
試行で研究中の青色やピンク色のピアノも
まだ発売はされていませんが、ピアノ製造工場では試験的にこんな色のピアノも作られています。好き嫌いは分かれると思いますが、あなたはどのような評価でしょうか?
まとめ
今回は、インテリアピアノについていろいろな方向から解説してみました。
ピアノは1709年にイタリアのハープシコード製作者バルトロメオ・クリストフォリによって発明されましたが、初期のピアノは黒いピアノは無く木目で装飾を施したものが主流でした。
1900年代に入り日本でのピアノ作りがはじまりましたが、黒いピアノが多く製造されたのは日本だけの傾向だそうです。
湿気に強い漆塗りの技術が伝統的に存在したことや、黒は高級といった感性が日本で黒いピアノが普及した理由とも言われています。
住宅のインテリアのトレンドがピアノの色への嗜好に変化を生む中で、ピアノを製造するメーカーも外装の色や素材に対し調査研究を進めています。
「将来はピアノが欲しいな」と思っている方々の意見が集約され、今までにないインテリアピアノが生まれ、一番好みのインテリアピアノに出会えればよいですね。