
北海道歌志内市出身のシンガー・nonocさん。映画『Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow』の主題歌ボーカルに抜擢されてデビューし、数々のアニメ主題歌を担当してきました。2024年にはfhánaの佐藤純一さんが代表を務めるNEW WORLD LINEに所属し、活動の拠点を東京へ。
現在は佐藤さんとともに楽曲制作に取り組みながら、作詞家としても活動の幅を広げています。シンガーから、アーティストへと進化の只中にいるnonocさんに、音楽とピアノへの思いを語っていただきました。
東京に出てきたことが、私のターニングポイント
これまでの活動を振り返ったとき、一番の転機と言えるのは「東京に出てきたこと」です。それまではアニメタイアップの仕事が中心で、「アニメの世界に寄り添うことが私の仕事」という姿勢で音楽と向き合っていました。でも東京に来て、fhánaの佐藤純一さんと一緒に制作をするようになってからは、自分の曲に対して「こういうものが欲しい」という要望を佐藤さんに伝えながら、一緒に作っていけるようになったんです。そういうことって、今までなかなかできなかったことでした。
以前はシンガーとしてずっとやってきましたが、東京に来てからは「アーティストとして何を表現したいのか」というテーマと向き合えるようになりました。それは私の人生においても、大きな転機だったと思います。

声から始まる音づくり
私には、「これじゃなきゃ駄目」というきっぱりしたこだわりはないんです。だから、デビュー当時から歌い方も変わってきています。それに応じて、自分の声が引っ張られない音づくりということに、今まで以上に集中するようになってきました。
東京に来て佐藤さんと一緒に制作するようになってから、好きなもの、苦手なものの解像度が上がって、ちゃんとオーダーができるようになりました。自分の言葉で伝えられるようになったことで、ストレスなく歌える環境も、伝えたい内容も、自然と定まってくる。声が中心にあって、そこからピアノをはじめいろいろな音のことを考えていく。それが今の私の音づくりの基本になっています。
佐藤さんがカワイの電子ピアノをライブで愛用されているのは、私のワンマンライブでもMP11SEを弾いてくださっているので、よく知っています。そばで聴いていて、「あ、全然違うな」と感じることがありますね。実は私自身も、ライブで何曲かMP11SEを使わせていただいて弾き語りをしたこともあるんですよ。

今のほうがピアノが好き
私は小学2年生から中学3年生までピアノを習っていました。発表会のプログラムは年功序列で並ぶから、後ろの方で簡単な曲を弾くことになる。子ども心に「ちょっとやだな」って思っていましたね(笑)。
でも今のほうが、当時よりずっとピアノが好きです。その理由は、目的が変わったからだと思います。子どもの頃はコンクールで入賞するために、ひたすら同じ曲を繰り返し練習していた。今は自己表現のためにピアノと向き合っている。自分の意志で、やろうと思ったことをやれるという点が、全然違いますね。

ただ、今の方が難しいとも感じています。クラシックなら楽譜通りに弾けばよかったけれど、今は楽譜のないところで弾くことも多いんですよ。クラシックを習うことから始めて、こういうポップスやロックの音楽活動をしている人は、きっとみんな「あの時ジャズを習っていれば……」って思っているんじゃないかな(笑)。
もっと自由にピアノと戯れたい
これからは、もっとピアノを弾けるようになりたいですね。取材会場に向かう途中、浜松駅の構内にストリートピアノがあったんですよ。ああいう場所でゲリラ的にさらっと弾けたら、かっこいいですよね。今日この取材でいいピアノに触れることができたので、やっぱり弾きたくなってきました。
最近は曲を作りたいという気持ちも出てきたので、そのきっかけとしても、ピアノともっと一緒に遊べるようになりたいです。アコースティックライブでの弾き語りの曲数も増やしたいし、今はまだ弾きながら少しストレスを感じているので、それがなくなるくらいまで自由に弾けるようになれたらいいな。それがアーティストだと思うから。

シンガーからアーティストへと歩み始めたnonocさんにとって、ピアノは新たな表現を切り拓くための大切な存在になりつつあります。自分の声を軸に、ピアノと自由に遊べる日を目指して。nonocさんの音楽の世界は、これからまだまだ広がっていきそうです。
<プロフィール>
nonoc ノノック
北海道歌志内市出身。映画『Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow』の主題歌ボーカルに抜擢されデビュー。以来、数々のTVアニメ主題歌を担当。2024年にNEW WORLD LINEへ所属し東京へ進出。以降、自曲の作詞に加え、他アーティストへの歌詞提供も行う。カナダ、香港、台湾、シンガポールなど海外イベントにも多数出演。北海道歌志内市PR大使。







