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指先とペダルで、音楽はもっと豊かに歌い出す。〜ピアニスト・鈴木弘尚さんが語る、新GXシリーズの表現力〜

2026.11.05161 views

思い描いた音色を、指先とペダルで自在に表現する。響きを豊かに膨らませ、歌うようにフレーズを紡ぎ、余韻まで美しく収める。そんな繊細な音楽表現を、もっと身近なものにできたら。

ピアニスト・鈴木弘尚さんを講師に迎えた体感セミナー「ペダリングで紡ぐ豊かな音色」が、全国8会場のカワイ直営店で開催されました。新しいGXシリーズのグランドピアノを使用し、音色や響きを生み出すペダリングの奥深さを、演奏を交えて紹介したセミナーです。

今回は、鈴木さんが大切にする音づくりへの想いや、実際に演奏した新GX-3の印象を伺いました。

音を聴くことから、豊かな表現が生まれる

――今回のセミナーで、特に伝えたかったことは何でしょうか。

音楽は音の芸術であり、同時に耳の芸術でもあります。音をどう捉えるかは、耳にかかっています。そのため、ピアノという楽器を通して耳を鍛え、どんな音を、どんな響きを聴くべきなのかを身につけてほしいと思っています。

繊細な響きの違いまで表現できるGXシリーズのようなピアノで幼少期から練習すると、音の聴き方そのものが変わってきます。今回の講座では、そうした「耳と音の関係」を最もお伝えしたいと思っていました。

――演奏するうえで、一番大切なことは何だとお考えですか。

私たち演奏家は、作曲家と聴衆の橋渡し役です。作曲家の想いを、音を通じて伝えることが使命なんです。

ピアノは、鍵盤の上を歩けば猫でも音が出せます。でも、人間として何を感じ、お客様に何を伝えたいのか。その想いを、わずか1センチ弱の鍵盤の深さと、2センチほどのペダリングに載せるわけです。

作曲家の意図を大切にすることは前提ですが、そこで生きてくるのが、楽器から受けるインスピレーションです。ときには作曲家さえ想像し得なかった音楽が生まれるかもしれません。その可能性も含めて、出す音には責任を持たなくてはならない。その意識が一番大事だと思っています。

「よく歌えるピアノ」――新GX-3が広げる表現力

――今回、新GX-3を演奏していただきました。実際に弾かれて、どのような印象を持たれましたか。

第一印象は「よく歌えるピアノだな」ということでした。

特に感じたのは、フレーズの終わりの収め方です。従来よりも減衰をコントロールしやすくなり、美しく収められるようになりました。

響きを膨らませたいときは、フレーズの頂点に向かってペダルをふんだんに使い、ふくよかな歌の頂点をつくる。そこからペダルを調整して減衰をつくり、フレーズを収めるまで美しい曲線を描く。それがとてもやりやすいんです。

もう一つ印象的だったのは、ペダルの中間のグラデーションです。従来に比べてフルコンサートピアノに近いかたちで実現されていて、表現力が格段に豊かになりました。講座で弾いている間も、多彩な色彩をつくれることに感銘を受けました。

ペダルだけでなく、タッチの面でも歌いやすさを感じました。思い描いたイメージを、妨げられることなく音にできるピアノです。

――こうしたペダリングの進化は、ピアノを学ぶ方にどのような可能性をもたらすと思われますか。

一番の魅力は、普及モデルにフルコンサートピアノ並みのペダリングが備わったことです。このピアノを手にする方々の耳が変わり、感性が変わっていく。ピアノを学ぶ人たち全体の底上げに、大きく貢献してくれると思います。

細かな音の差を聴き取る耳は、若いうちにこそ育つものです。最初に手にするピアノでこうした繊細な響きに触れられれば、導入から上級までシームレスに成長していける。それが、これまで以上に期待できるようになりました。

日本人の繊細な感性は、世界でも認められています。その繊細さを、小さいうちからペダリングやタッチの技術として身につけられれば、大きなピアノを弾いたときにデリケートな表現がより発揮されるはずです。GXシリーズは、日本人の良さをさらに伸ばしてくれる、その入り口にぴったりのピアノだと思います。

理想の音を思い描くことが、演奏を変える

――鈴木さんの音づくりへの考え方は、どのように育まれてきたのでしょうか。

11歳から8年間師事した、モスクワ音楽院のヴェラ・ゴルノスタエヴァ先生からの教えです。

最初のレッスンで、先生がふいに弾き始めたメロディに耳を傾けていたら、なんと消しゴム付き鉛筆の、消しゴムの部分で弾いていらしたんです。しかも、きちんとした美しい演奏になっていました。

その姿から、大事なのはどんな音を引き出すかであり、確固たるイメージがあれば、道具や手の形は関係ないのだと気づかされました。以来、手の形という「方法」ではなく、出したい音という「目的地」から考えるようになりました。

また、2003年の浜松国際ピアノコンクールで審査委員長を務められた中村紘子先生からは、アーティストとしてのあり方を教わりました。「雨でも雪でも、地球の裏側からでも駆けつけてくれる、あなたの演奏を何より好きな人を一人でいいから作りなさい」。この言葉は、今も心に残っています。

――思い描いた音を表現するために、まず意識してほしいことはありますか。

一にも二にも、まずは聴くことです。ピアノに限らず、ほかの楽器や歌など、生の響きにぜひ触れてほしいですね。さまざまな音を聴く経験は、自分の出す音に耳を傾ける力にもつながります。

演奏者は、自分が出した音に責任を持たなくてはいけません。そのため私たちは、どんな音が鳴っているのかを、ひたすら聴き続けながら演奏しているんです。

そして、いろいろなものに興味を持つことも大切です。演奏には、その人自身が映し出されます。経験を重ねるほど、白か黒かだけでなく、中間色を感じられるようになります。

音楽を感じ取り、自ら音で生み出せることは、心を豊かにしてくれます。その豊かさを生かして興味を広げれば、進化したピアノがそれを表現に映してくれる。その相乗効果で、皆さんの音楽がより豊かになっていくことを願っています。

音楽とともに生きる喜びを、次の世代へ

――これから演奏家を目指す方や、若い世代へ伝えたいことはありますか。

音楽とともに生活できることの尊さを、感じてほしいですね。私自身、これまでいろいろなことがありましたが、そのたびに音楽が心を支え、豊かにしてくれました。

プロを目指す方には、「昨日と同じ姿を今日も見せるな」という言葉を贈りたいと思います。昨日は不快に感じたハーモニーが、今日は心地よく感じられる。そうした日々の変化を認めることで、たとえ1ミリでも昨日とは違う自分でいられる。その心がけが、演奏家には大事なのだと思います。

――最後に、ピアノを学んでいる方や音楽を楽しんでいる方へ、メッセージをお願いします。

音楽に触れる一番身近な入り口は、「声」という楽器です。声に出して歌うことから、音楽は始まります。

実は私も、幼い頃にCMソングを口ずさんでいたのをきっかけに、母が音楽教室に通わせてくれたんです。口ずさむところからピアノへ、そして音楽とともにある生活へ。

暮らしの中に音楽があるのは、本当に幸せなことです。その喜びを、皆さんにも感じていただけたらと思います。


鈴木弘尚さん プロフィール

ピアニスト。イタリアのイモラ国際ピアノアカデミー卒業。園田高弘賞ピアノコンクール第1位、ブゾーニ国際コンクール第6位、浜松国際ピアノコンクール第5位など受賞多数。国内外でのリサイタルやオーケストラとの共演を重ね、指導者としても多くのコンクール入賞者を輩出。現在、昭和音楽大学准教授、名古屋音楽大学客員教授、明和高等学校音楽科講師。

GXシリーズの豊かな表現力を、ぜひご体感ください

鈴木さんが大切にするのは、「どんな音を届けたいのか」という想い。その想いを指先とペダルで表現する喜びを、新GXシリーズはさらに広げてくれます。

Shigeru Kawaiから受け継いだ「デュアル・ピボット・ダンパー機構」により、繊細なペダリングを可能にした新GXシリーズ。響きを膨らませる瞬間から、余韻を美しく収める瞬間まで、演奏者の感性に応えます。

思い描いた音色を、自分の指とペダルで奏でる喜びを。

進化したGXシリーズの豊かな響きと表現力を、ぜひお近くのカワイでご体感ください。

※展示モデル・展示状況は店舗によって異なります。最新情報は各店舗へお問い合わせください。

河合楽器製作所

ピアノ・電子ピアノといえばKAWAI
1927年創業の
鍵盤楽器メーカーです

これまで100年近くにわたり、世界各国にたくさんのピアノ・電子ピアノを届けてきました。
国際コンクールやコンサートなどでは、世界中の多くのピアニストにご愛用頂いております。
「音楽を通じて、感動を共に分かち合いたい」
これは、永きにわたる楽器づくりの歴史から生まれたKAWAIの想いです。

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