木製鍵盤を搭載したKAWAIの電子ピアノのフラグシップモデル「CA901」。
そのプロモーション動画にご出演いただいた、ピアニストの高木竜馬さんに、CA901を弾いた感想や、ピアノの上達に欠かせないことについてお話を伺いました。
レビュー動画は、こちらからご覧ください ⇒ CA901 レビュー動画
電子ピアノの印象について
これまで、電子ピアノに触れる機会は多くありませんでした。
ただ、コンサート会場の楽屋に置いてある電子ピアノや、他の方が持っている電子ピアノを少し弾かせていただいたことはありました。そのような数少ない機会の中で、電子ピアノはどんどん新しい機能が搭載されていくイメージを持っていました。
日進月歩で業界全体が切磋琢磨して「より良い物を出そう」と努力されている。だからこそどんどん進化している楽器だと感じています。
今は普通のグランドピアノで練習していますが、今後演奏会が増えて、夜中でも練習をしなくてはならなくなった時、きっと電子ピアノに頼ることになるだろうと思っています。将来、自宅用に購入することができたらいいなと思っています。
CA901を弾いてみて
はじめて音を出した瞬間、「こんな音が電子ピアノから出せるんだ」とちょっとビックリしました。
電子ピアノですが、どこかにこれまでリサイタルなどで度々弾いてきた、フルコンサートピアノ『SK-EX』の響きを感じる部分があり、KAWAIの方に伺ってみると、やはり音のサンプリングにSK-EXの響きを使われているとの事でした。
SK-EXの音は、コンクールモデルの音、つまりは、ショパン国際コンクール等で使用された音の響きが反映されているとの事で、自身が「SK-EXの響きを感じた事」にものすごく納得しました。そして同時に「なんて贅沢な音を弾かせていただいているのだろう」と思いました。
またタッチも、コンサートピアノに近く、電子ピアノ特有の、タッチが「しっかり底までいききらない」みたいなものではなく、ちゃんと「掴んでいる」実感が湧くものでした。演奏家として、研究の積み重ねをヒシヒシと感じました。また響きについてですが、3Dのようにいろいろな方向から立体的に響きが出てくるのを強く感じました。
「上から降ってくるような響き」や、「会場で聴衆として聴いている音」、「ホールに広がる豊かな音」が電子ピアノの目の前から響いてくる事に感動しました。すごい楽器を弾かせていただいているという実感を持ちながら演奏しておりました。
ピアノの上達のために
楽器を演奏するにあたって一番大切な事は、どれだけその音にこだわりを持つことができるかだと思っています。
本番で良い演奏をするために一生懸命練習をする時、コンサートやコンクールなどの舞台で、良い状態のピアノが響いていることを想像しながら弾いています。その想像する響き。 例えば、良い響きだけではなく、泣きそうになるような音、悲しい響きもあれば、嬉しい響きもあり、そして、その音を出すためには どうやって体を使ったら良いか、どのような奏法で演奏したら良いかと考えながら練習しています。「響きを想像する」為には、練習からできるだけ質の良い楽器に触れる事はものすごく大切だと思います。
それぞれご家庭の環境で、グランドピアノやアップライトピアノを置きたくても置けないけれど、電子ピアノなら置けるといったケースがあると思います。そういった場合、せっかく電子ピアノを置くのであれば、やっぱり質の良い物を置きたいですよね。
コンサートピアノに近い響きを出すことができる電子ピアノで練習していれば、自ずと音に対する感覚やこだわりが育っていくと思います。ですから、電子ピアノであっても少しでも良い物に触れ続けることが、上達するための一番の道だと思っています。
髙木竜馬さんプロフィール
第16回エドヴァルド・グリーグ国際ピアノコンクールにて優勝及び聴衆賞を受賞し、一躍世界的に脚光を浴びる。その他にも第26回ローマ国際ピアノコンクールなど、７つの国際コンクールで優勝。その後、小林研一郎氏、尾高忠明氏の指揮により３回に亘って東京フィルハーモニー交響楽団と共演した他、オスロフィル ハーモニー管弦楽団との共演、ウィーン楽友協会やエルプフィルハーモニー等でのリサイタルなど、日本とウィーンを拠点に多方面で活躍。NHK総合テレビ『ピアノの森』では、雨宮修平メインピアニスト役で出演し、大好評を博す。その他にもTV『題名のない音楽会』TV『ららら♪クラシック』等々、メディアへの出演多数。故エレーナ・アシュケナージ、故中村紘子、ミヒャエル・クリスト、ボリス・ペトルシャンスキー、アンナ・マリコヴァの各氏に師事。 (公財)江副記念リクルート財団 第35回奨学生。https://ryomatakagi.com/
